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資料:矢内原忠雄の戦い

● 真理と戦争
 戦争は病気です。狂暴性(きょうぼうせい)精神病です。戦争は害悪です。反真理です。およそ真理の属性は秩序を愛して混沌を嫌い、生命を愛して殺りくを憎みます。真理は平和を愛し、戦争を嫌うのです。従って戦争を挑発するような制度及び思想に対抗することは真理探求者の自明の任務と言わなければなりません。平和思想の基礎は個人または国家の利益になく、また人間の潜在(せんざい)心理にもありません。平和思想はかえって個人また個々の国家の利益に対して上位にあるところの宇宙的秩序、また潜在心理の本能的野性を止揚(しよう)し訓練するところの人類的理想に立っています。平和は真理の属性に適(かな)うがゆえに真理なのです。
(『中央公論』 1936年1月号)

● 「神の国」より
今日は、虚偽の世において、我々のかくも愛したる日本の国の理想、あるいは理想を失った日本の葬りの席であります。私は怒ることも怒れません。泣くことも泣けません。どうぞ皆さん、もし私の申したことがおわかりになったならば、日本の理想を生かすために、一先ずこの国を葬ってください。
『通信』1937年(昭和12)10月号

● 『嘉信』は日本の良心
『嘉信』は形小なれども国民の良心なり、国の柱なり。『嘉信』を廃するは国民の良心をくつがえし、国の柱を除くに等し。『嘉信』は神により立てられたるものなれば、これを倒していかで国に善事を招かんや。
(「警視総監への意見書」より、1944年6月12日、全集26:113)

● 嘉信会報
 人の生命を救うためやむを得ない必要のあるときに、法に触れることをびくびく恐れて善行の機会を逃すのは、かえって法に忠実な事ではありません。もし法に触れたかどを以て警察が処罰するならば、法に従って素直にその処罰を受けるべきです。しかし神の前に良心のとがめを感ずる必要はないのです。 ・・・『嘉信(かしん)』の廃刊に続いて『会報』を発行することは、私の心において一つの戦いを要しました。・・・この世にあって義しく生きる事は容易な事ではありません。私たちは往々にしてその道さえ知らず、たとえ道を知っても力が乏しい事を嘆いている者です。しかし思えば私たちの戦いの性質も、これに処すべき道も、すべてイエスの生涯において示されています。私たちは彼の足跡を踏むに過ぎず、彼は私たちの模範です。いや、単に模範であるばかりでなく、彼は私たちの力です

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